小学館コミッククス「銀の匙」は人気作家 荒川弘による学園農業漫画です。

農業高校に通う少年の青春を生き物や食の大事さに触れながら描いたこの作品はマンガ大賞を受賞しました。

ただ、普段馴染みのない農業だったり「鋼の錬金術師」からの路線変更に思ったほど読者を取り込めずにいました。

課題は明確で
商品の魅力が正しく認知されていないということでしたので
「農業世界の魅力」を楽しく伝えるプロモーション施策と
「SNSを駆使」した丁寧な作品紹介で課題解決を目指しました。

「農業世界の魅力」：マンガ以前にそもそもの農業の魅力を伝えるリアルコンテンツを企画する。

「SNSを駆使」：農業はシビアなタイムマネジメント世界なのでSNSのリアルタイム特性を存分に活かす。

具体的には
農業高校の24時間を実写化したTVCMを20本制作（朝4:00の農作業〜22:00消灯まで）して、さらにオンタイムでオンエアするという企画です。
つまり、朝5:00の農作業は朝５時台のTV枠でだけ流すという仕掛けで、リアル体験と同時にプレミア感へも繋げるという狙いです。

また、CM拡散のための公式サイトやSNSプラットフォームを事前に作成してオンエア前から「何か起きるぞ」的に宣伝をしていきました。

そのようにして、フォロワー同士の連帯感も形成しながら、本番当日にはtwitterで実況中継してユーザー離れを防ぎました。

スタートのフォロワー3000人からオンエア当日には61185人にまで増え、
発売一週間で９割完売して重版+35万部を達成することが出来ました。
コマーシャルフォトでも紹介していただきました。

撮影はロケハンも合わせて北海道に1週間ほど滞在し、舞台となった農業高校とそこに通学する高校生たちを撮影するという、とても素敵な経験をすることが出来ました。

キャンペーンサイトについて

キャンペーンサイト制作にあたり「24時間いつでも、は使えないサイト」という企画を提案しました。

農業はとてもシビアな世界で、全て家畜や天候・自然によって生活時間が決まるという側面があります。舞台の高校ではそれをコミカルな校訓で「勤労、協同、理不尽」と表現しています。

社会人になってもその理不尽さと上手に付き合える人材を育てるため、一年生は全寮制で、22時に完全強制消灯される生活を送ります。

このキャンペーンサイトでは「リアル体験」をテーマとしているので、
22:00-翌朝4:00までを強制シャットアウトすることにしました。

理不尽を忠実に再現する狙いもありますが、
24時間使えるWEB媒体ならではの良さの逆を突いて、
話題化も意図したかったからです。

モデルとなった農業高校の航空写真を元に、直径20km四方をイラスト化して描き、徹底してファンに楽しんでもらえるサイト制作を目指しました。